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バレエダンサーによるジャイロトニック体験レポート

GYROTONIC® 認定トレーナーそめやあゆみです。

「身体の中心を安定させたい」
「もっとのびやかに大きく動きたい」

これは私が現役時代に考えていた悩みです。関節や筋肉が柔らかく、安定しない身体をアウターの筋肉を緊張させることでバランスをとっていました。そのため筋肉はいつも緊張状態で、血液中に酸素が行きわたらず踊りの最後はいつもバテバテに。。

今も試行錯誤の毎日ですが、ジャイロトニックに出会い、その強く、しなやかな身体づかいで踊りが楽に、それでいて軸のしっかりとしたものになりました。

この身体の感覚をぜひ多くのダンサーにもバレエで活かしてほしいとの思いから、現役ダンサーにモニターになっていただき、週1回ジャイロトニックのセッションを10週間続けて受けての身体の変化をレポートしていただきました。身体の使い方に悩むダンサーにぜひ参考にしていただけると幸いです。
それではまずはモニターになっていただいたR.Hさまのご紹介です。

≪R.Hさまプロフィール≫
18才からモダンバレエ、19才からパントマイムを始める。パフォーマーとして活動を始めて25年。コンテンポラリーダンス、パントマイムを融合させた独自の世界を繰り広げ、現在はパフォーマー、振付家として活躍中。

直線的な棒のように身体を使うことを長年やってきてしまい身体はボロボロに。身体を治し、他でも通用する身体になりたい!動きの質を上げまだまだ踊りたい!という思いでモニターセッション参加を決意。

目標をお聞きしたところ「肋骨を自由に動かせるようになりたい!」とおっしゃっていたR.Hさん。最初にそめやが気になったのは、胸郭の位置でした。肋骨の下部が上がっていて、背骨が反る方向に傾いていました。

みなさん錯覚しがちですが、バレエ特有の姿勢は決して胸を反らせた姿勢ではありません。身体の中身(内臓)を腹筋と骨盤底の筋肉が引き上げることによって上体の幅が厚くなり胸が高く見えるのです。胸がつっぱった状態では横隔膜が自由に収縮できず、肺に十分な空気を取り込むことができません。

肋骨の下部を恥骨の方におろす意識を伝えてみましたが、静止している状態ではコネクションできていても動き出すとやっぱりぬけてしまう。うーん。。そこで、お腹に触れてみるとお腹がカチカチにかたい!パフォーマーとして経験豊富なR.Hさん。私の伝えた言葉をすぐに身体で表せることができるんです。でも、その言葉のニュアンスや力の加減がとても難しいことに気づきました。物でも何でもかたいものって弾力性がなく伸びないですよね。

外側を固めるのではなく、身体の内側から起こる動きを感じてもらいたい。身体の中心からつながり広がっていく感覚や動きの余韻、重みのある質感、それがダンスの動きの幅をひろげ、身体表現に深みを与えてくれる。

身体の中心が安定しているからしなやかに、強く動けること。
今回のモニターセッションで持ち帰ってほしいことが決まりました。

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◎初回セッション後のレポート by R.Hさま

まずは呼吸 特に「ホ~」に感激‼ 他の「は行」はやったことがあったが「初のホ」
まだスムーズにいい感じに 息を吐けているとまでいかないけど体の中に太目の配管が通る感じ。
そして、肋骨下部を恥骨の方に下げることにより耳の後ろにつながる感覚(ヤッター)ほんの少しのニュアンスの差が身体に及ぼす影響ってスゴイ!
5th lineは楽しい。いつも使えていないのがわかっているライン。踊る時になかなか感じられないところ。どんな動きにもいかしたい。
足の裏の意識する場所は感激。バレエクラスやコンテンポラリークラスに出ても教えてもらえないこと。上手な人の見ていてきっとこういう感覚だろうと思い自分でいろいろ手探りしてきたことの答えが1回目だけでもたくさんあった。これが自分のものになって表現の際にも自然に出てくるようになったら、なりたい私に近づきそう。
身体に意識を傾けながらも、どんどん身体を動かす。エクササイズになるとついつい中に入りすぎてしまうけど、動かしながら行っていくことにより踊りの中で動きにつなげられる可能性が見える。
セッションの終わりにはいつも動かないところが、痛みを伴うこともなく動きだしていた。
けど翌日はその場所が筋肉痛。どれだけ動いてなかったがわかる。筋肉痛に感謝。
10回終わったら足が長く、大腿四頭筋がしゃしゃりでてこない身体、肋骨は円筒形に…
欲を言えばまだまだまだあるけど理想に近づけたらいいなぁ
でも10回は今回の目標!継続すればさらにどんどん発見がありそう。
先生の言葉がけもするっと身体になじむ、ダンサー言語!
この先思うと ワクワクする!

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恥ずかしながら私そめやは、アダージョは得意だけど、アレグロになると途端に動けなくなる人でした。ゆったりとしたテンポの音楽では自分の身体のクセに対応できるのですが、速いテンポの音楽になると身体の中心が安定していなっかたので骨盤が揺らいでしまい思うように動けなかったのです。

つかんだ感覚を速いテンポでも踊りにつなげられるように、1~5回目までのセッションではジャイロトニックのエクササイズからバレエ動作につながる感覚を確認しつつ少しゆっくりペースで、6回目以降のセッションではリズミカルな動きの流れの中でも感覚をキャッチできるようチャレンジしてもらいました。

止まってしまいそうになる度に、わざとカウントで呼びかける。何か分かりそうなのに、、、という戸惑いの表情をされていたこともありましたが、わからなくても、できなくても、とにかく流して動く!!私自身が、スタジオオーナーのやまもとゆきえに言われた言葉でもありました。

身体の反応を求めすぎず、身体の中をぐちゃぐちゃにかき回されるように動いて、動いて、身体中にエネルギーが駆けめぐるような感覚や、動き終わった後に身体の中に残るゆらゆらとうごめくもの。動かなければ感じられない、その中でしか見つからない物があると思います。
その後、回数を重ね10回目終了後のレポートがこちらになります。

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◎10回目のセッション後のレポート by R.Hさま

身体の事を見つめなおし、発見するだけのセッションではなくエクササイズを通して自分自身と対峙する10回のセッションとなりました。先生には申し訳ないほど、自分を露出していたような気がします。

まずは新しいことを学ぶときには今までやってきたことをゼロにして入ろうと思ったのに、調子が悪い日ほど今までの経験と重ね合わせてしまい、毎回何かがわかりそうでわからない、身体がきちんと理解できないことに苛立ちを感じ、そこにたどり着かない限り知りたい身体に行きつかないし結果が出せないと思う焦りと気持ちをリセットすることの繰り返し。

でも繰り返しは緩やかな螺旋を描いていた。セッション中の先生の言葉の破片と身体の中に残った糸のような感覚を家でゆっくり確認すると身体の中にわずかずつではあるけれどコネクションができる。

そのコネクションは、いつも他のダンサーを見ていて「ああいう風に動けたら」とか「あの部位を使っている感覚はこんな感じなんだろう」と思いながら実際に自分の身体をどこからどう使ったらそこに行かれるだろうと実験してきたこと。その入口にたどり着いた感じです。まだ、入口に立っているだけできちんと身体が理解していないし踊りに移せていませんが、バレエのレッスン中にも少しずつポジションを変えてみることにより今までよりもずっと踊りやすくなっていることが成果としてでています。

丁寧に言葉を探しながら指導していただき、ありがとうございました。
10回では到底自分のものになるものではないので、これからも気づきのセッション続けていきたいと思います。

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苦手な部分を頭で考えてしまうと心や身体のどこかが緊張してしまい、余計にできなくなってしまったりするんですよね。

私も苦手なピルエットのプレパレーションの時ほど、呪文のようにいろんなことを考えていました。苦手な部分を意識しつつも呼吸と共に身体全体で動く。そんな動作の習慣が身についてくると身体も心もストレスが少なく開放されるような気持ちの良さが感じられるのではないでしょうか。
調和して動くということはこんな感じでもあるのかな、と思います。

 

こちらでは初回からの身体の様子を画像で比較してみましょう。

dancer20141
初回は上半身がやや前傾し頭も少し前に出ていますが、10回目後は、脚の上に背骨そして頭部がすっと積み上っています。

 

dancer20142
こちらの画像では初回は肋骨下部が開き腰部に負担をかけつつ反る動作をっていますが、10回目は肋骨のつながりをキープしたまま楽に反ることができています。

10回のセッションでしっかり身体に変化が起こっていることがわかりますね。
実は、このモニターセッションは私にとっても大きなチャレンジでした。限られた期限の中でバレエに活かせる身体づかいをお伝えすることが出来るのだろうか、情報を詰め込みすぎて混乱させてしまっているのではないか、と模索しながらの日々でしたが、R.Hさまのダンスに対する真摯な姿と情熱に奮起させられ無事終了することができました。
毎日丁寧に宿題を積み重ねてくださり本当にありがとうございました!!
私とR.Hさまとのこの記録はトレーナーとして貴重な財産となりました。

先日、R.Hさまとのセッションで嬉しい変化に気が付きました。以前より動きや表情、話し方まで穏やかでやわらかくなっているのです。お聞きしてみると、今も私が出した宿題を継続してくれていて少しずつ体感できてきたそうです。

モニターセッションが終了した時はわずかだったつながりが、確実に身体に浸み込んできていることを実感しました。そして、動きを通して身体的な部分だけでなく精神面や感情もバランスのとれた状態を生み出してくれる。そんな所もジャイロトニックの大きな魅力のひとつだと思います。

私自身も、こころが充実して穏やかな状態が得られなければトレーナーになることはなかったでしょう。

ダンスライフを充実させるだけでなく、日常生活をより健やかに過ごすためのメソッドとしてジャイロトニックのエクササイズを取り入れてもらえると嬉しいです。

  そめやあゆみ